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3.偽りだらけの世界の中で(17)

2015年09月30日 21:50

それからというもの
体に合わない大きさの机や椅子に変えられたり
教室へ戻ると腐った牛乳を机の上にこぼされていたり
色々な嫌がらせをされた。
大方、予想のつく事をされた時には
またかと思えたが
全く想像出来ない事をされた時には
嫌でも涙が零れおちた。
だがどんな嫌がらせをされても倉庫へは行かなかった。






そんな私も一度だけ舞に仕返しをした事がある。
体育の授業でドッジボールが行われた時、
私は力一杯
舞の顔面めがけてボールを投げつけた。
見事命中。
取り巻きの連中が一斉に舞の傍へ駆け寄ると
私に向かって謝れ!だの 許さない!などど罵倒した。
正直、また何かされるのではないか
とても恐ろしかったが
舞は黙って鼻を押させていた。





子供ながらに
結局この人は何一つ自分では出来ない奴だ。
と思った事を覚えている。




陰で笑われたり文句を言われる事はあっても
図書倉庫への呼び出しや
暴力は一切なくなった。
いつも泣いて
逃げてばかりのだったが
彩加という存在に支えられ
私は少しずつ変わってゆく事ができた。
だが彩加は違った。







3.偽りだらけの世界の中で(16)

2015年09月29日 21:48

きっかけは小さなものだった。
やがてそれは
ブレーキのきかなくなった
ジェットコースターのように加速。
滑走するにごとに勢いが増し
次第に私自身を蝕むモノとなった。



暴言、暴力の支配下にいた私は
次第に自分の意思も奪われた。
考える思考とやらも消滅した。


何を言われても
どんな酷い仕打ちに遭っても
頼るべきであろう親や先生にさえも
信じる事ができなかった私は
文句も言わず
反論もせず
不満も口にする事もなく全てに従った。



舞が転校してきてから
約3年間もの間
従い続けてきた私が反論するとは思わなかっただろう。
予想もしなかった返答に
二人は言葉を失う程、驚いていた。




「行くか、行かないかは私が決める事でアンタ達が決める事じゃない!」



席を立ちあがると
彩加の席へ私は逃げた。


これまで散々やられてきたのだ。
私には確信があった。
他のクラスメイトがいる教室では
手が出せないという確信があったのだ。



次の日も机の中に手紙が入っていたが
ゴミ箱の底に投げ捨てた。

3.偽りだらけの世界の中で(15)

2015年09月28日 14:43

出会った頃の彩加は
私の手を握りしめ励ましてくれたのに
この頃になると舞達の存在に怯えるようになっていた。
昼休み恒例となった呼びだしに応じる必要がないという私に
何をされるか分からない。
素直に言う事に従った方がいいんじゃないかとさえ言った。



確かに彩加の言う通り
更に酷い事をされるのではないか不安だったし
心臓が足早に波打つ鼓動が
全身に伝わるぐらい
怖くて怖くてたまらなかった。
だがこれ以上、言いなりになってはいけない。
今度は私が彩加を守る番だ!






「大丈夫!行く必要なんてないよ、今度は私が守る番だから。」



彩加の手をギュッと握った。
昼休みが終わり
五時間目の授業開始前
私の机の前に取り巻き二人がやって来た。





「手紙見ただろ? 何で来なかったんだよっ!」


私の机と椅子を二人は何度も蹴り続けた。
ガタガタと音を立て机が揺れる
椅子を蹴る振動が全身に響く中
恐怖に怯え
顔をあげる事さえもできない私は
俯きただ黙って嵐が去るのを待った。




怖い。

怖い。

怖い。

怖い。



でも、ここで負けたらダメだ。



私は拳を握りしめると
勇気を振り絞って言った。


「行きたくないから、行かなかっただけ。」


初めて自分の意思を口にした。


3.偽りだらけの世界の中で(14)

2015年09月27日 14:38

それから私達は互いに謝り
号泣しながら叩きあった。



 
 ――― 喧嘩したらダメじゃん! アンタ達、親友なんでしょう? 


  はい、仲直り! 




扉が開かれ
眩しい光が差し込んだ。
だがこれは終わりなどではない。
明日の始まりである。
明日は待ってくれない。
その恐怖が私達に迫っていた。



その後も、私達は倉庫へ呼び出され
互いに叩く事を命じられた。
拒むとポケットから剃刀を取り出し
●すと脅された。



ただの子供騙し。
できるわけがない。
だが暴力と脅しという凶器に支配されていた当時の私達は
彼女たちの言葉を信じきっていた。
本当にヤラレルと思っていた。

剥きだしとなった刃が詰められた封筒が
カバンの中に入っていたり
糊で塞がれた封筒の淵には
私の指が切れるように
セロハンテープで刃が貼られている事もあった。
私達は剃刀の刃で脅されつづけた。
誰の手も及ぶ事ができない
恐怖の世界に生息していたのだ。



だがある日
机の中に入れられた手紙を目にし
ふと思った。




何で私はこの人達の言いなりになってきたんだろう。
私はもう一人じゃない。
彩加がいる。
彼女達の言う事を聞く必要もないんだ。
私は紙をグシャグシャに丸めるとゴミ箱の底へ投げ捨てた。


3.偽りだらけの世界の中で(13)

2015年09月26日 14:36

「次、お前の番、彩加の顔を叩け。」


拒む私の手を
彩加は握りしめると
私は大丈夫だからと泣きながら言った。
でも私には彩加を叩く事なんて出来ない。
絶対に出来ない。
悲しくて泣く事しかできなかった。




「じゃー、交代。今度は彩加の番。

お前が叩かれるはずだった分、小雪の顔を叩け。

そしたら許してやる!」



「許してやる」という意味は解放する事。
臆病者の私とは違い
彩加は強い子だった。
私を守る為
彩加は嫌な役をかって出たのだ。
ごめんね、ごめんね・・
彩加は泣きながら私の頬を叩いた。




「今度は小雪の番。 叩かないと彩加をずっと虐めるぞ!」



叩けない。
彩加を叩く事なんてできない。
だけど・・
だけど彩加が虐められるのは嫌だ。
この日、生まれて初めて人を叩いた。


泣きながら
彩加の頬を叩いた。


3.偽りだらけの世界の中で(12)

2015年09月25日 14:34

彩加は泣きながら
やめてほしい!と懇願した。



       ---------  じゃー、小雪の顔を叩け!




次の命令の下される。
泣きながら拒む彩加に鉄槌を下す。



       ---------  彩加の代わりに叩いてやれ!


 
       ---------  叩かないから代わりの二発!



              彩加が叩かないから・・・・



              彩加が叩かないから・・・・



それから私は何発も何発も叩かれた。





      ---------  彩加!


             許してほしければ小雪の顔を力一杯叩けよ!





泣き崩れる私の腕を掴むと
彩加は涙をボロボロと零しながら震える声で言った。




  ---------  ご・・・っめんね・・小雪ちゃん・・ 


         大事な友達だと思っている! 大好きだからね。




意を決した彩加の表情に私は覚悟を決めた。
彩加の手が大きく揺れた。
私はギュッと瞼を閉じた。


3.偽りだらけの世界の中で(11)

2015年09月24日 14:33

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3.偽りだらけの世界の中で(10)

2015年09月23日 12:33

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3.偽りだらけの世界の中で(9)

2015年09月22日 12:31

私の顔を叩く事を頑なに彩加に対し
お前がやらないならコイツをリンチしてやる!
取り巻きの一人が脅しをかけた。



 -----  リンチ決定! 彩加の代わりに小雪を叩いてやれ!




          バシッ!!!



私は頬を叩かれた。




  -----  アンタ達、そんな事していいと思っているの? 

        先生、呼んで来るからね!




全てがスローモーションのように
流れるように過ぎてゆく。
狭い倉庫に彩加の大きな声が響き
扉に彩加の手が触れた。
ドアの隙間から眩しい太陽の光が
真っ白な光が眼に飛び込む。



今でも覚えている
明るい光に照らされる彩加の姿が
正義のヒーローに見えた。
生まれて初めて私の事を助けてくれる

正義のヒーローが
目に前に現れたのだ。


3.偽りだらけの世界の中で(8)

2015年09月21日 12:30

「アンタ達、親友なんだって?」


私と彩加は
あの薄暗い図書倉庫にいた。





    ----- バカみたい、親友だって笑っちゃう!




    ----- 小雪、親友の顔を叩きなさいよ!




小雪というのは私の名前。
初雪が舞う深夜に私は生まれた。
私は自分の名前が大嫌いだ!
死ぬほど嫌いだ!
だから出会った人に
本当の名前を教えてくれる事にも
名前で呼ばれる事にも
とてもとても抵抗がある。


人に優しく名前を呼ばれた事がない。
両親は苛苛しながら私の名前を口にした。
特に父は怒りをぶつけるような声で
私の名を口にした。
同級生は嘲笑い
小馬鹿にしながら私の名を口にした。


人を罵り
蔑む時に使われる言葉がある。
暴言のように
吐き捨てる言葉がある。
それと私の名前は同じ。
その言葉を投げつけれた時
抱く感情。
名前を呼ばれると不快な気持ちになる。





    ----- 小雪の顔を叩けって言ってるの!




  

              叩け!





              叩け!






              叩け!





狭い倉庫に叩けというコールが響いていた。





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