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7:豎子(7)

2015年10月31日 16:05

あれ以来
彼女とは話す事もなくなった。
目が合うだけで
私を睨むようになっていた。
そんな彩加の姿を見る度に
哀しい気持ちになった。


彩加にだって良いところがいっぱいある。
優しくて一途な子。
だけど裏を返せば執着心が強く
死ぬまで根に持つタイプ。
女特有の可愛らしさと、女特有の執念深さを兼ね備えていた。





    ――― 出たっ、出たっ! 八方美人!

 
          目立ちたがり屋! 


      自分がリーダーだとでも思っているんじゃない?




それなら自分達が声をかければいいのに。




「名前なんて言うの?」


「あっ・・ 私、遥。」


地味で大人しそうな外見と違い
遥はよく喋る子だった。
話しだせば機関銃のように一人で喋っている。
ひょうきんで面白い子なのに
皆の前だと一言も喋らない子だった。
多分クラスに馴染めなかったんだと思う。
だって誰も遥に声をかける子はいなかったから。



それから間もなくして遥が学校へ来なくなった。
給食のおかずが酢豚だった日
酢豚を口にする遥の姿を目にした男子が
彼女に聞こえるように言った。 





    ―――   豚が共食いしている。 
 



翌日から遥は学校へ来なくなった。
涼は家が近かったので
毎日、遥の家へ寄るようになった。
家が遠い私は毎日手紙を書いた。
今日は国語の抜き打ちテストがあったとか何気ない些細な事。
早く学校においで!
皆待っているから元気な顔見せてね!
その言葉を必ず添えた。

一ヶ月が経ち
その間、一日も欠かす事なく手紙を書いた。
涼も遥の家へ通い続けたが
それでも遥は来なかった。


7:豎子(6)

2015年10月30日 16:03

三年になりまた転校生が現れた。
大きな黒ぶちメガネ
大柄な体系
いかにも勉強ができるって感じの彼女は
教室の隅っこで俯いていた。
皆、彼女をジロジロ見るだけで誰も声をかけようとしない。



私はそんな同級生達の姿を見ながら
きっと彼女が美人だったら違うだろうな、そう思った。
この間も転校生はいた。
女という生き物は
男が思う以上に強かだ。
誰が見ても可愛い女の子には
クラスで目立つグループの子が迷わず声をかける。

だが暗そうな感じの子や
不細工な子には誰も声をかけない。
一緒にいる事で自分の「格」が下がるって事を
本能的に学んでいるから。


教室の隅っこにいる彼女の姿が
昔の自分と重なって見えた。


「なー、うちらが声かけへん? うちな分かんねん、うちも転校生やったやろ、
やっぱりな、こういう時は、周りの皆が助けなあかん!」

涼のこういうところが好き。
彼女は男っぽい気性ながらも
人を思いやる心を持った優しい子だった。
私達二人は彼女の側へ行った。


自分達は見ているだけで何もしないくせに
こう言う時、声をけたりすると
目立ちたがり屋なんて言う奴が必ずいる。
彩加だった。



7:豎子(5)

2015年10月29日 16:02

涼に告白したのは剛だけではなかった。
剛の親友、直樹である。
どちらが先に告白するかで殴り合いの喧嘩になり
二人は絶交となった。



「どっちがええと思う?うち決められへん、なー小雪なら二人の事知っとるやろ?
どっちがえーか教えて。」


「ごめん、分からないよ。」


どちらか選べなんて言われても選べない。
だって二人とも嫌いだから。


  
     ―――  二人ともダメ。 性格が悪すぎる。 

          私、あの二人大嫌い、他の子にしなよ。



私の一言で涼の決断が左右されると思うと言えなかった。



「涼はどんな男の人が好きなの?」


「うちはなぁ、やっぱ男らしい人がええなぁ、強くて逞しい男が理想やわ。
弱っちょろい男は嫌や、見ててイライラすんねん。」

「そっかぁ。喧嘩勝ったのどっちなの?」

「剛先輩やったみたい。」

「剛先輩の方が喧嘩強いんだね。」



深い意味なんて全くない。
何気なく呟いた私の言葉で涼は剛を選んだ。



7:豎子(4)

2015年10月28日 15:57

二年にもなると男子の話題で盛り上がっている。
ある日
涼が照れくそうに言った。


「うち告白されてん。」


はぁ・・・?


「あんなーっ、剛先輩って知っとる?付き合ってって告白されてん。」


驚いたってもんじゃない。
ビックリした。
まず涼が男の子にモテルという事。
クラスには涼より可愛い子がいるのに
浮いた話が一つもない。
男が可愛いと思う女性と
女が可愛いと思う女性は必ずしも一致しない。
明るくて気さくな雰囲気なんだろうか
涼は学校で一番モテていた。


そして涼に告白した剛は
一つ上の先輩。
上級生の中で私が最も嫌いな男であった。


7:豎子(3)

2015年10月27日 15:55

中学の進級を機に莉沙は髪を染め
暴走族の仲間達とつるむようになった。


「莉沙ってな、見た目はな悪い子やったけど、根はめっちゃイイ子やねん。
大人ってな、ちょっと他の子と違うだけで煩く言うやろ。
うちもなオキシドールで色抜いて金髪にしとっんたんよ。あんぱんもやっとったし。」


「あんぱん?」


あんこの入ったパンを想像する私は見て
涼は笑った。


「なんや、あんぱんも知らへんの?ほんまここの子は純粋やなーっ。 」


暴走族の仲間と過ごすようになった涼。
髪の毛を金髪にしシンナーにも手を染め
家にも帰らなかったという。


非行街道まっしぐら。
久しぶりに帰宅すると
自宅で待ちうけていた父に叩かれた。
その時、鼓膜が破れ、涼の左耳は聞こえなくなる。


そんな中、涼がこの地へ来る決断を下す後押しとなったのは
父と取っ組み合いの大喧嘩になり、殴られ骨折。
病院に見舞いにきた父に
このままじゃ何をするか分からない、
頼むから田舎へ行ってくれ!と頼まれ
彼女は祖母と暮らす決断をした。




「でもうち転校してきて良かったわ。
あのままやったら、どないなっとったか分からへんしな。」



涼はサッパリした性格で来る者拒まず。
それでも大事な事や肝心な事は
私にだけ打ち明けてくれた。
一緒に居て楽しかったし気が合った。。
だが私は彼女のように自分を曝け出す事が出来なかった。
両親の事で悩んでいても
何が不満なのか
何から話せばいいのかさえも分からなかった。


7:豎子(2)

2015年10月26日 15:51

    -------  自分がされて嫌な事は私はしない!



あの頃からそうやって生きてきた。
果たしてそれを守り通せてきたのか
今もなお貫いていられるのか分からないが
あの頃の気持ちは忘れないようにして生きている。




転校してきた涼も
虐めの被害者だった経験がある。
きっかけは些細な事。
皆の前で姿勢が良いと先生に褒められた
ただそれだけの事なのに
嫉妬したクラスのリーダー莉沙が主犯格となり
涼は虐められるようになった。


だがしばらくして
ダーツに悪魔の矢がはなたれた。
次のターゲットとは莉沙。
これまで涼を虐めてきた莉沙が
皆に無視される中、涼だけは彼女を虐めなかった。
自分がされて嫌だった事を
私にはできなかったと話す涼。



虐めの加害者だった莉沙と
被害者だった涼の二人は
その日から親友となった。。
私と彼女との違いは
彼女を理解してくれる人が現れ
私には現れなかったという事だった。



7:豎子(1)

2015年10月25日 15:50

虐めって
悪魔がはなつダーツのように
次々とターゲットが変わる。


小学生だった頃
私を虐める事に飽きた舞は
度々、他の女の子を標的にする事があった。
その時、仲間に入るよう指示されたが
虐めによって苦しめられてきた私には
誰かを虐める事なんてできなかった。



私の事を散々苦しめた続けた舞も
かつて彼女の傲慢な態度に
嫌気をさした取り巻き達に
無視の標的にされた事がある。
クラスの皆に
一緒に仕返しをしよう!と声をかけられたが
やはり私には
それが舞であっても虐める事なんてできなかった。


そういう時に標的にされた人間はというと
必ず私に助けを求めた。
それは私がその人の友達だからではない。
その人にとって「利用価値」があるかないか
ただそれだけの事だった。
それゆえ次のターゲットが現れた途端
掌を返したかのように私の前から消え去り
自分を守るため
己の保身のために私を標的にした。



本当に人間とは
卑しく浅ましいもので
目の前でもがき苦しむ人間がいようとも
自分さえ良ければそれでいい。
子供の頃から
そういう醜態を嫌というほど見てきた私は
同級生のそんな態度にも慣れっこになっていた。



6:さよならの文字(9)

2015年10月24日 15:49

彩加の声を聞いた
バレー部員達が慌てて止めに入った。


何がいけなかったんだろう。
何が悪かったのか
私には分からなかった。


裏道を抜け体育館の正面へ向かうと
涼が私の事を待っていてくれた。
ずっと私の事を待っていてくれたんだ・・って思ったら
また涙が出てきた。



「うちのせいやんな、うちが全部悪いんや・・」

「違うよ、それは違う。 関係ないよ。」

「そーなん?」

「うん。」



さよなら、と書かれた交換日記。
ありがとうって言葉と
ごめんねって言葉と
彩加は私にとって大事な存在でした、って言葉を残し
グラスに添えて彩加のロッカーへ入れた。




あの時、二人で買ったグラスは割れてしまったが
あの日
スヌーピーの小さな赤い缶ケースもお揃いで買った。
色も剥げ錆びている部分もあるのに
今でも大事に取っている。
その缶ケースを手にする度
かけがえのない存在だった彩加の事を今でも思い出す。



6:さよならの文字(8)

2015年10月23日 13:23

喧嘩したの?
早く仲直りしなよ!
心配して声をかけてくれる子もいた。



これって喧嘩なの?
言いたい事も
お互い何も言えないのに
こんなの喧嘩じゃないよ。

何度も声をかけた。
手紙も書いた。
だけど彩加は私の事を許してはくれなかった。



私の事が嫌いならそれでいい。
それでも話したかった。
涼と部活に向かっていると
体育館の非常階段に彩加が一人でいた。




「涼ごめんね、先に行っててもらっていい? 彩加と二人で話したい事あるから。」


「ほな、うちここで待っとるわ。」


「うん!」


階段に腰をおろし
一人で外の風景を眺めていた彩加を見て
切なくなったのを覚えている。
とても哀しそうだったから。



「彩加、話したい事があるの、あのね・・。」



「もうやめてくれない?」


「違う!聞いて欲しいの。このままじゃ嫌だから、だから私の話聞いて。」


「もういい加減にしてよ!  毎日、毎日、本当にシツコイ! 絶交だって言ったでしょ!
聞こえなかったの? 聞いてなかった?
ならもう一度言ってあげる、私、アンタの事、大嫌いっ! だから目の前から消えて!! 
顔も見たくない! 二度と私に話しかけないで!!」



彩加は手にしていたタオルを
私の顔に投げつけた。


6:さよならの文字(7)

2015年10月22日 13:20

親友って他の女の子と話をしたらダメなの?
仲良くしたらダメなの?
皆と仲良くしたいって思っちゃダメなんだ。
結局、私は悪者。
私って誰とも上手く付き合ってゆく事が出来ないんだろうな。



いやでも涙が零れてくる。
あの時と同じ。
虐められてた時と同じだ。


「うちのせいやない?何かごめんな、うちが二人の間に割り込んだばっかりに・・」



「違うよ、それは関係ない!私が彩加を傷つけたんだから。」


次は体育の授業。
更衣室へ向かう時
私は彩加の傍へ駆け寄った。



「あのね、話があるの、聞いてもらえないかな?」



「ごめん、忙しいから。 ねーっ、マキ一緒に更衣室行こう!」



「オッケー!!!!」



なんでこんな女と一緒にいるんだろう。
彩加の顔を何度も叩いた女なのに。
あんなに酷い事されたのに
マキの隣には彩加がいた。




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