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8:渦潮(24)

2015年11月30日 18:16

そんな私をさらに追いつめるかのように
今村の一件が父の耳に入り
飲んだくれ見境がない父に何時間も説教された。



その日から学校へ行くのをやめた。
世の中でいう不良になってシンナーを吸って
親から金を奪い取り
殴って、蹴って、
今まで私が流した涙の分
いやそれ以上に、両親を地獄の底に落としてやろうと思った。



だがここは信号もなく
バスも一時間に一本しかない
究極のど田舎。
右を見ても左を見ても山と畑と田んぼしかなく
不良なんてどこを探してもいやしない。
誰もが校則を守り、部活動に励み、清い日々を送っている。



学校へ行かなくなり数日が過ぎた頃
学校から家に連絡が来た。
何食わぬ顔で家に戻ると




   ―――  この親不孝者!

  
         何も言っても分からないような奴は、この棒で打ちのめしてやる!



鬼のような形相で棒を振りかざし
追いかけて来る母。
私はカバンを地面に放り投げ無我夢中で逃げた。



8:渦潮(23)

2015年11月29日 18:14

そんな中
涼から衝撃的な言葉を耳にする。


  ――― 遥ね、前の学校へ転校したよ。




私はどこまで自分勝手な人間なんだろう。
遥の不登校を拒絶しながらも
頑張って学校へ来て欲しい。
仲良く一緒に学校へ通いたいという気持ちがあった。



  行く。 





  行かない。



二つの選択肢の中で不登校を選んだ遥。
3ケ月近く一日も欠かさず書いた手紙。




      ―――  遥ね、ありがとうって、手紙読んで喜んでたわ。 



涼から伝えられる言葉が嬉しくて
遥が学校へ来る事を願っていたのに
途中で放り投げた。
私にだって嫌な事はいっぱいある。
辛いのは遥だけじゃない。



学校へ来た遥に
今更どうやって声をかけたらいいのか分からなくて
自分の気持ちに素直になれなかった。
たった一日だったけど
頑張って学校へ顔を見せた遥。
あの時、声をかけなかった事で
こんなにも後悔するなんて思いもしなかった。



        ゴメンね。  



謝りたいと思うのに、もうその相手はいない。




      ―――  小雪が虐めるから遥転校したんだって!



いつも一緒だった彩加。
優しかった彩加はもうどこにもいない。

小雪が虐めてたから遥、転校したの? 
虐めはダメだよ、とチーちゃんにまで言われた。
その背後では彩加とマキが私を見て笑ってる。



少しずつ・・



本当に少しずつ・・・



私の中で何かが変わり始めていった。




8:渦潮(22)

2015年11月28日 18:06

翌日、泣きはらした目は腫れあがり
私の頬は鬱血した部分が青白くなっていた。
先生に反発した私はまるで犯罪者。
遥の不登校の問題もあり
私に敵愾心を抱く彩加にとっては打ってつけであった。
こぞってクラス中の皆に
根も葉もない噂をばら撒き散らしては
私を孤立させようと必死になっていたのだ。




言いたい事は腐る程ある。
だが何を言っても誰も理解なんかしてくれない。
何もかもが鬱陶しくてウンザリする中
今村のところへ向かった。





  ――― 先生、昨日は失礼な事を口にして申し訳ありませんでした。





昨日、叩かれた時と同じ場所。
その場所で須藤に与えられた脚本を朗読する私。
無表情で頭を深々と下げる私に
分かればいいんだ、と今村は笑顔で言った。
それから担任の須藤の前でも
謝罪という脚本を朗読し
その場を後にしたが
申し訳ないなんて気持ちは微塵もなかった。



ホームルーム直後
須藤が私の頭をポンポンと叩くと
昨日はすまなかったな。と言った。



「こっちこそーっ、昨日は遅くまで、すみませんでしたぁーっ。」



それからの私は異常なほど
明るく振舞っていた。
大人が望む者を演じさえすれば
嫌な思いをする事もないんだって
何度も自分に言い聞かせる努力をした。


8:渦潮(21)

2015年11月27日 18:02

だが開き直ったものの
さすがに玄関の前に立った時には
恐怖におののき
心臓がバクバクして吐き気に襲われた。


覚悟を決め玄関を開けた瞬間
私の顔を見た母が飛んできた。


「お父さんは?」

「仕事から帰って来てないのよ。 それより、どうしたのよ、その顔・・・」

「何でもない。」

「そんなに顔が腫れてるのに、何でもないわけないでしょう!  
手跡がハッキリついているじゃない! いいから話しなさい!!」



確かに私の顔には
今村の指の一本、一本がハッキリと残っていた。
須藤にも叩かれたが
その痛みなんかとは比較出来ない。
いずれバレると思った私は母に経緯を説明した。




  ――― 学校へ乗り込んで訴えてやる! 



もの凄い剣幕で怒る母を見ながら
この人も私の事を庇う事もあるんだ、と思ったのを覚えている。



これが公になれば今村は何らかの処分を受けるだろう。
彼は以前にも男子生徒の顔を殴り
鼓膜が破けるケガを負わせていた。
学校へ行くという母を
私にも非があるからいい、と止めた。


8:渦潮(20)

2015年11月26日 18:01

日は沈み
辺りは真っ暗になていた。
こんな生徒に振り回され
俺は飯もまだ食えないのか。
きっと先生も頭の中では違う事を考えているんだろうな。


何だか可笑しくなってきた。
私は笑っていた。
須藤が私の顔を拭く度に笑いが込み上げてくる。
笑顔じゃない。
壊れたんだ。


そんな事も分からないパーチクリンの須藤は
私の狂った笑顔に安心したのか
頼むから今村先生に謝ってくれと言う。
さっきまで私の顔を叩き続けた須藤が
今度は私に頭を下げて謝ってくれと頼んでいる。
大の大人が十四歳の小娘に謝ってくれと頭を下げているのだ。




後先考えず行動する幼稚な私。
その私に振り回される先生。
大人って大変だね、先生も疲れちゃったよね?
いいよ、謝ってあげる。
でもね、私は謝罪はしない。
与えられた台本に書かれている台詞を朗読するだけ。





   ―――  分かりました。 謝ります。




その言葉を聞いた須藤は
丸めたテイッシュを鼻の穴に無理やり突っ込むと
叩いて悪かったな、痛かっただろ? 
髪の毛を撫でながら微笑んでいた。




時計を見ると八時を過ぎている。
門限六時を過ぎていた。
今度は父が待っている。
何もかもどうなってもよくなっていた。


8:渦潮(19)

2015年11月25日 17:58

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8:渦潮(18)

2015年11月24日 17:56


     ―――  一人で立てるか? 今村先生のところへ行こう。




席を立つ先生の手を力強く振り払った。




「なっ・・馴・・れ・・しく・・馴れし・・く・・・さわっ・・触るんじゃ・・・ね・・よ。」


「お前おかしいぞ? どうしたんだ?」


「わっ・・私は・・ あっ・・謝らな・・・い・・からな! しっ・・死んで・・も謝らな・・いからな!」


「何を意味の分からない事を言っているんだ? 
お前は自分の言っている事が分かっているのか?」



ジャージの襟首を掴みあげると
椅子に体を押しつけ
今村に謝りに行くよう須藤は怒鳴った。
心は頑なになるばかり。
私はますます意固地になっていた。





       バチ――――――――ン!!!



須藤に叩かれた。
咄嗟に頬に手を当てるとまた鼻血が出ている。
痛みなんかなかった。
涙もでなかった。
私の心は憎しみでいっぱいだった。



「叩いて気が済んだ?」



須藤を睨みつけると
鼻で笑ってやった。



「何だとーっ?」


「叩いて気が済んだのかって聞いてるんだよっ!!」


「お前は教師に向かって何て口を叩くんだ!」


感情的になった須藤は
また私の頬を叩いた。



「全然、痛くない、アンタそれで叩いてるつもりなの? 蚊が刺したのかと思った。」


信じられないような汚ない言葉が
次から次へとでてくる。
私は須藤に叩かれる度
汚ない言葉で罵り続けた。


8:渦潮(17)

2015年11月23日 17:54

見なかった事にしよう。
見てはいけない物を見てしまったような気がして
慌てて拾い集めていた時
涼に見つかってしまった。


「何なんこれ? むっちゃヤバいやん! オカシイって、これ普通じゃない!
アイツ頭オカシイんちゃう? 中学生やで! ヤバイやろ? 」
       

「涼、もう見ない方がいいよ。 」


「何でなん?面白いやん!先生まだ来んやろ? 大丈夫やて。 」


封筒から手紙を取りだす涼。




    ---------- 先生、愛しています。




前の学校の不登校だった女子生徒と付き合っている先生。
幸せそうに肩を寄せ合い
頭をくっつけ、指を絡め笑っている写真。
疎い私でも
二人が健全な関係でない事が分かった。






大人は皆汚い。
皆自分勝手で思い通りにいかない事を
無理やり弱い者に押し付けようとする。

あの優しさも、かけた言葉も
私に対しての言葉ではなくて全て自分の為だったんだね。
知らなかったよ。
騙されるところだった。
良かった、気が付いて。
良かった本音を語らなくて。
お前もアイツ等と同じ。
皆、同じ。
 




お前たちの言う事なんか信じるもんか。

絶対に信じない。

私はもう騙されない

騙されないからな・・・


8:渦潮(16)

2015年11月22日 17:52


――― お前の気持ちは分かったから
   取りあえず今日は今村先生のところへ行って謝ろう。
   先生も一緒に謝ってあげるから。





何だ。
そう言う事か。
先生も同じだね。
私の親と何も変わらない・・・
先生、知らないと思っているでしょう?
私、知っているんだよ。
知らないふりをしてあげているだけ。




二十代半ばの担任の須藤は
背が高く、スマート。
笑うと白い綺麗な歯が輝いて見えた。



「先生、英語で分からないところあるんですけど教えてもらっていいですか? 」



日曜日、私と涼は先生の家に行った。
CDや雑誌
たくさんの荷物が部屋の隅に追いやられ
いかにも独身男性って感じの部屋だった。


何にもないなぁ、ちょっと飲み物でも買ってくるから待ってろ。
車の鍵を握りしめ家を後にする先生。
しばらくして涼が立った瞬間、
彼女の手山のように積み上げられた箱に手が触れ
雑誌などが床になだれ落ちた。



「何や、ほんま汚いわ、うちこんなん触りたない。 」

「片づけとくからトイレ行っておいでよ! 」


雑誌をかき集め整理している時だった。
箱の中から飛び出した物の中から
たくさんの手紙や写真が出てきた。
写っていたのは黒髪のセミロングの女の子。
その隣で微笑んでいるのは須藤だった。


8:渦潮(15)

2015年11月21日 17:50

飲んだくれて見境がない父は
拳を振い上げると
母を何度も殴り続けた。


泣きながら父にやめるように
懇願すると



     ――― お前の人生なんかな、
       
          俺の印鑑一つでどうにでもできるんだからな覚えてろ!!!



恐怖で
その場から動く事ができなかった。




翌日となると


  ――― ごめんな、お父さん飲み過ぎてな、、、覚えてないんだよ。


何千回、その言葉を聞いただろう。
何万回、信じてきただろう。
何億回、その言葉を許してきただろう。

何兆回、裏切られたのだろうか。
私はもう騙されない。



中学へ入ったのを機に
父と顔も合わす事も避けるようになり
会話する事も一切やめた。
何を言われても、聞かれても
一切耳に入れなくなった。
完全に無視し目も合わさない。


勝手にすればいい
好きなように生きて行け、
子供の為に自分の人生を犠牲にする必要なんてない。



両親が親である事を放棄したように
私も全てを捨て去った。




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