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12:失われた小鳥たち (12)

2015年12月31日 19:13

別に誰でも良かった。
早く大人になりたかった。
セ.,.ックスを経験すれば大人になれる様な気がした。
大人になれば
この生活から逃れられるような気がした。
居場所を見出せるのなら
相手は誰でも良かったのだ。




  ―――  彼女がいないようには見えない、なんて言われる。



その言葉を疑う余地なんて全くなかった。
だがしばらくして
私の眼に飛び込んできたのは
想像を絶する程の醜い男。




ゴリラのほうが余程、美しい!
だが分かりやすく言うならばゴリラ顔
ブラマヨの小杉のような髪の毛を
天に突き刺さるかの如く
ムースでガチガチに固め
誰も穿かないような霜降りのジーンズの上には
胴周りについた脂肪の塊が
今にも溢れでそうな状態でついている。
ボクシングの面影など微塵もない。
だらしのない生活感が全身を覆っていた。


身長もせいぜい165、6といったところだろう。
あまりにも醜さになかったものにしようと思った。



他人の振りをして帰ろうかな? 
でも自宅の電話番号を知られている・・
どうしよう・・・怒って家に電話されたら
色んな事が頭の中を駆け巡る。


男との距離が縮まる。


どうしよう・・

どうしよう・・・



          ------------  オレ、薫なんだけど小雪ちゃって君だろう?




肩を掴まれた。
もう逃げられない。
覚悟を決めた私は
この日、初めて逢った薫とホテルへ向かった。




12:失われた小鳥たち(11)

2015年12月30日 19:10

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12:失われた小鳥たち(10)

2015年12月29日 18:25


  
  ―――   ちょっと待ってね、番号はねーっ。



嬉しそうに会話する茜。
父にこんな事をしているなんてバレたら
ただじゃ済まない。
茜の肩を叩きながら必死に横に首を振った。




      -----------  番号は絶対に教えないで!



だが話に夢中な茜は私の事なんて
全く目に入らない。



  ――― これさ、小雪の家の番号なんだけど
       こっちから電話しない時には、絶対にかけないでね!
       小雪のお父さん、無茶苦茶、怖い人なんだから。
       すぐかけなおして、番号はね・・・




自宅の番号をバラされた。
その日から
家の電話が鳴る度に反射的に私の体がビクッ!と動いた。
電話の相手が薫じゃないか気が気じゃなかったが
彼は約束をきちんと守り
こちらからかけない時は一切、連絡してこなかった。


最初の頃は
茜と二人で頻繁に連絡していたが
高校受験、今後の進路に向け
クラスの雰囲気も変わり始める。
次第に連絡をする回数も減り
私達は薫と連絡を取る事もなくなっていた。


12:失われた小鳥たち(9)

2015年12月28日 18:23

それからというもの茜と二人で
頻繁に公衆電話から薫に電話するようになった。
だが中学生だった私達に
頻繁に電話する金などない。
そんな時だった薫がコレクトコールというものを教えてくれた。
浮かれる茜は
その後も薫に電話をする。



電話ボックスに
長時間二人で入っているのはキツイ。
私は狭いところが苦手な事もあって
いつもドアの淵に足をかけ
扉を開けた状態で茜の話を聞いていた。
ずっと立ちっ放し
風の強い雨の日なんてスカートが濡れる。



土曜日の午後は母は男と出かけ
妹は部活で留守という事もあり
私の家からコレクトコールをする機会が増えていった。
そんな三人の関係がしばらく続いた時だった。



   ----------- かけなおすから電話番号を教えてくれない?




受話器の奥から薫の声が聞こえた。
出会い系で知り合った男と話しているなんて事がバレたら
ただじゃ済まされない。
どんなに母に反発しても父の前では恐怖で体が硬直する。
それぐらい父という人間は
私にとって恐ろしい存在だった。



12:失われた小鳥たち(8)

2015年12月27日 18:22

   ----------   アイツ今頃、待っているんじゃない?


              超ウケル!



私と茜はお腹を抱えながら
大声で笑っていた。

中学生だった頃
学校を終えた私達は出会い系サイトで男を探す。
だが私達がするのは約束まで。
バカな親父共と約束をしては
指定の場所にのこのこと現れる
無様な男達の姿を想像しては馬鹿にし笑った。

そこに意味なんてものはない。
楽しかった、ただそれだけだった。



知りあう男と言えば
親子ほど年の離れた親父ばかりなのに
ある日、二十歳の男と知りあった。
彼の名は薫。
女みたいな名前だな・・そう思ったのを覚えている。



誰に似ているの?
周囲の人間からは、彼女がいないようには見えない。
ボクシングもやっているし、カッコイイなんてよく言われるけど
自分では分からない。と答える彼。
自分の事をカッコイイと堂々と口にできるなんて
余程、自分の容姿に自信のあるんだろうな、なんて思ってた。


若いという事もあってか茜が正直に中学生である事を伝えると
最初は戸惑っていたが
暇だったら今度、電話してよ!
薫は自宅の番号を教えてくれた。

幼稚な同級生達とは違う。
二十歳の大人の男性。
しかも自分で堂々とカッコイイと言える男。
逢った事もない
声しか知らない相手。
そんな彼に茜は期待し胸を大きく膨らませていった。
それは恋と言っても過言ではなかった。



12:失われた小鳥たち (7)

2015年12月26日 18:16

セミロングの小柄な女の子。
彼女の名はアキラ。
アキラは学年で三十番以内の優等生しか入れない
進学クラスに属していた。
その中でも彼女の成績は常にトップ。
運動神経も優れていた。



「もしかして親にされたの?」


「そう。 家の父親厳しくって思いどうりにならないと、すぐ叩くの。」



同じだ。


同じなんだ。

彼女になら話せる。

彼女なら分かってくれる。




    ----------   あのね、私も同じなの・・・ あなたと同じ・・・私の話しを聞いてもらえない?









小雨が降りしきる中
私は公衆電話の受話器に手をかけると
震える指で
紙に書かれた番号を一つずつ押していった。
心臓が破裂しそうだった。







何やっているんだろう・・


やっぱりやめよう、


いや賭けだ!


自分自身を煽る私がいる
逃げ腰になる自分が腰ぬけに思えてならなかった。


三回コールで出なかったら私の勝ち。
三回コ―ルで相手が出たら私の負けだ。
私はこの日、賭けにでたのだ。


12:失われた小鳥たち (6)

2015年12月25日 18:14

授業を終え、バス停に向かう。
何故だか分からない。
その日は
普段、絶対に乗る事がないバスを待っていた。
早い時刻という事もあってか人も少なく
バス停裏の敷地に生い茂る雑草を
ぼんやり眺めていると
歩行者の体が私の手に当たり握っていた鞄が地面に落ちた。




          ---------- ごめんなさいっ!!



振り返ると
同じ高校の制服を着た女の子が立っている。



「汚しちゃって・・・ごめんね。」



砂を手で払うと彼女は鞄を差し出した。
細い華奢な腕
セーラー服の袖の隙間から大きな青アザが見えた。
なんだか見てはいけないものを見てしまった気がした私は
視線を反らし手渡された鞄を受け取った。



「もしかして、見えちゃった?
見えないかなぁ、って思ってたんだけど見えちゃうよね?」


「ケガ大丈夫ですか?」


「あぁ、大丈夫、もう慣れっ子だから・・・」




               慣れっこ?




               慣れっこって・・何?




               まさか・・・


               いや違う。


               そんな子いるはずがない・・・・




強張る私の目の前で
彼女は諦めにも似た表情で言った。



   -------    私の親、頭オカシイから。




全身に鳥肌が駆け巡る。


居たのだ。


この世の中に。


しかも、こんなすぐ側に。



私と同じ女の子が・・・



私と同じ痛みを持つ女の子が



今、私の目の前に現れたのだ。




12:失われた小鳥たち(5)

2015年12月24日 18:09

いつまでも
少年であり続けなければならなかった私は
初潮を迎えた時も
とても恥ずかしい事だと思ったし
汚ないもののように感じた。


そんな私は高校生になってもブラも付けなかった。
そういう下着を身に付ける事にさえも抵抗を感じていたから。
ブラをつけるようになったのは
高校一年の時
お昼ごはんを食べ終えた私に




   ------------  アンタ、まだブラもつけてもないの?! 恥ずかしい!




皆の前で彩加に侮辱されたからだ。
その場にいられない程、屈辱的だった。
だがきっとその時の彼女の言葉がなかったら
私はその先もブラを使う事はなかったような気がする。


色気づく女子達を罵る両親を目にする度に
私は私が演じている少年に騙されつづける両親の事を
心の底から罵り、嘲笑った。
お前達がどれだけ立派な人間なんだ!
お前の娘が
陰で何をやっているのかなんて何も知らないだろ!
笑いがこみあげ
私の中の黒い闇が満たされてゆく。


学校でも同じだ。
勉強もせず、授業にもついてこれない。
そのくせ男のケツばかり追っかけている女の姿を見る度に
真面目に見える人間程
裏で何やってんだが分からないもんだ。
もっと要領良く遊べばいいのにとさえ思った。
そう思う事により
私は自分の中に潜む「後悔」というものを葬りさり
優越感に浸った。
周囲の人間の姿を目にする度に
勝ち誇ったような気さえしたのだ。



12:失われた小鳥たち(4)

2015年12月23日 18:06

私は性に疎かった。



      ――― 木村さん家の娘さん、もう退学したんだって? 
            男と遊んでばかりいるから、あんな風になるのよ!



両親はこういう間接的な言葉で私を制圧していった。



異性に興味を持つ事も
男性と付き合う事も
性に感心を抱く事も
両親はあらゆる手段で
汚ないもの、許されない事だと私が感じるような教育をしてきた。


中学生になってもコン,ドームはおろか
高校一年生になるまで
女性の性.,器の名称ですら知らなかった。



思春期を迎えた頃には
自分が女になってはいけないものだと錯覚するようになった。
思春期特有の女の匂いを感じようならば
神経質な母は目くじら立てて、それを封じ込める。
私は中学生になっても女の子ではなく
少年のような男の子を演じなければならなかったのだ。






12:失われた小鳥たち(3)

2015年12月22日 18:03


これまで自分の髪の毛を容赦なく掴みあげ
引き抜く事で内に秘めた感情を抑えてきた。
自分を苦しめ
傷みつける行為
肉体を通じて得られる痛みによって
私は自分自身の存在
生きているという実感
生きている意味を見出す事に必死になっていた。




目の前にいる男。
それはこの世の中で最も醜い男であった。
彼の容姿、目つき、声、仕草、振る舞い
その全てが身の毛もよだつほど
酷いありさまだった。
その男に抱かれる事で得られる痛みが
私への罰でもあり
生きているという事を実感できた。



そう。
私は澄み渡る青空を眺めたあの日。
女になった。
世間一般に言われるセッ,.クスというものを経験したのだ。
それは私でもあり
両親の目の前にいる私とは明らかに違った。
私は私じゃない。



両親が満足気な顔をする度に、私の中に潜む女が嘲笑う。
私に騙されている両親の事を
心の奥底からバカにして笑っていた。






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