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16:寄る辺なき者(4)

2016年02月24日 23:25

人の噂も・・・という言葉があるが本当だ。
アキラの噂で盛り上がっていたのに
皆、何事もなかったかのように普通にしている。
だから私も普通にする。
冗談を言っては笑い、トランプをしながらお菓子を食べる。
そこにはアキラはいない。



この前までここに居たのは誰なのだろう。
今までそこに存在しなかったかのように誰もが振舞っていた。
誰一人としてアキラの名を口に出す人間はいなくなり
どこかでそれを寂しく思いながらも
それも優しさの一つなのかも知れないと思う。
そして世の中、所詮こんなもんだと思う私の心の中から
アキラは消えない。




     どうしているんだろう・・・赤ちゃん大丈夫なのかな・・?




噂では退院したという話を耳にしていた。
アキラに逢いたい。
いや逢えなくてもいい。
一言だけでもいいから伝えたい。
ごめんね、その言葉を自分の口で伝えたい。
アキラの自宅へ電話する事にした。



     プルルルル・・・



     プルルルル・・・     



     プルルルル・・・




心臓が破裂しそうな程、バクバクと蠢いていた。
すごく不安で、とても怖かった。
このまま何も知らない方がいいのかも知れないと思った。
知るのが怖かったのかも知れない。
切ろう・・・そう思った時だった。



      ---------  ・・・もしもし・・・



受話器の奥から女性のか細い声が聞こえた。





16:寄る辺なき者(3)

2016年02月23日 23:23

ドアを閉め壁にもたれると
崩れ落ちるように声を殺して泣いた。




違う。
違うんだ。
静香やクラスの皆に対してじゃない
自分自身に一番腹が立ったのだ!
一番、腹立たしいのは自分。
一番、許せないのも自分。
あの時
一人で行かせなければ、こんな事にはなってなかったかもしれない。
何の力にもなれなかった自分自身に
一番腹が立ったのだ!。
だがどんなに後悔したってもう遅い。
もうどうする事も出来ない。





      生きていてくれるだけでいい。





それだけを願ったのに
アキラが助かったという事を耳にした瞬間
もう一度、一緒に高校生活を送りたい!時間を戻してほしい!と思った。
だがその願いが叶う事はない。
もうアキラが学校へは戻って来る事はない。
彼女は退学になったのだ。
せめて一言だけでいいから伝えたい。
ごめんね、、って伝えたい。
溢れ出る涙を堪えながら
消えてしまったアキラの事ばかりを考えていた。



16:寄る辺なき者(2)

2016年02月22日 23:23

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16:寄る辺なき者(1)

2016年02月21日 23:22

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15:サイン(13)

2016年02月20日 23:21

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15:サイン(12)

2016年02月19日 23:20


一月が終わりに差し掛かる北風が強い日であった。
日が暮れるにつれ雲行きが怪しくなり
小雨が小さな雪へと変わり
紺色のブレザーに白い粉雪が触れて消えていった。
次第に天候が悪化し
まるで嵐のように雪が酷くなっていった。




二時間が過ぎ
三時間が過ぎた。
昼飯も食べず、午後の授業も出なかった。
学校が終わるまで先生と一緒に血眼になって捜し回った。




      ------  まさか海になんて行ってないわよね?




先生のその言葉で海にも行った。
強風と激しい雪で
瞼を開けて立っている事さえもままらないほどの悪天候。
うねりをおびる白波の中、アキラの姿が見える。
波にもまれ白波に身を沈めてゆくアキラの姿が見える。
それは幻想。
それなのに時々、海の中に消えゆくアキラの姿が
幻想なのか現実なのか分からなくってくる。
海に消えてゆくアキラの体がこのまま海底にのまれ
消えて無くなってしまう気がして
私は知らず知らずのうちに波打つ海に向かって歩いていた。
探そうと思った。
アキラが海奥底に沈んで消えている気がした。
早く探しださなくちゃ・・
私が見つけ出してあげなくちゃいけない・・と思った。






          -------   何やっているの!!!!

     
              貴方がしっかりしなくちゃダメでしょう!!





腕を引き寄せられた私は
保健の先生の温かい胸の中にいた。
力強く、そして暖かい胸。
堪え切れず大声をあげて私は泣いた。



15:サイン(11)

2016年02月18日 23:19

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15:サイン(10)

2016年02月17日 23:18

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15:サイン(9)

2016年02月16日 23:17

体育の授業が始まってもアキラが来る気配はなかった。
五分が過ぎ、十分が過ぎてゆく。


この時、妙な胸騒ぎがした。
嫌な予感がしたのだ。
アキラを一人で部室に行かせた事を後悔した。
授業の最中も何度も抜けだそうかと思ったが
この日の授業は、団体行動だった為
私が欠けると試合が出来なくなり抜けだす事が出来なかった。
一秒過ぎる事に言い知れぬ不安が荒波のように
私の心へ押し寄せてくる。
気が気がじゃなかった。
とうとうアキラが武道館へ現れる事はなかった。




「ごめん、私、アキラ探してくる。 先、教室戻ってて!」



授業が終った途端、
私は体操着のままテニス部の部室へ全速力で向かった。
気持ちばかりが焦り
足が縺れ絡まりそうになりながら
部室の薄っぺらい木の扉を力強く押した。



 

          ガチャッ。






「アキラ・・?!」




ブロック塀の壁で隔たれた狭い部室は
小さい窓が一つしかなく
昼間だというのに
太陽の日差しが差し込む事はなく真っ暗であった。
アキラの姿はどこにもなかった。




15:サイン(8)

2016年02月15日 23:16

   ------  もういいよっ!! 小雪には相談しない!!!



アキラはとても協調性があり
温和な性格であった。
その彼女が怒りを露わにし
教室に響き渡る程の大声で叫ぶと
手にしていたノートを床に叩きつけた。
アキラが怒った姿をこの日、初めて私は目にした。
何を言われても構わない。
放課後、私から米倉に話そうと思った。



「ごめん、本当にごめんね、ちゃんと聞くから、お願い話してよ・・」


「もういいから・・ 本当に大丈夫だから・・」


次は体育の授業
アキラは体操服を手に取ると
何事もなかったかのように普通にしていた。
いつもの彼女に戻っているかのように見えた。
クラスの友達と武道館へ向かっていると
アキラの足が立ち止まった。



「ごめん・・ 私、部室にシューズ置き忘れてきちゃったみたい。
ちょっと取りに行って来る。」


「私も一緒に行くよ、一緒取りに行こう!」


「さっきの事気にしているの? 心配しなくても大丈夫だから。」


笑顔で手を振り部室へ消えて行くアキラ。
後ろ髪を引かれる思いって、こういう時の事を言うのだろうか
笑顔で部室へ向かうアキラの姿を目にしながら
大丈夫、何もない。
そんな事を思いながら武道館へと向かった。



この日がアキラの姿を見た
高校生活最後の日になるなんて思ってもみなかった。






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