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24:君は愛を知らない(7)

2016年09月14日 22:47

林チーフの勧めもあり故郷へ帰省した。
一年振りに戻ってみると
故郷に身をおく中学の同級生も複数いた。
その中の一人、茜。
数年ぶりの再会に花を咲かせ
懐かしい皆と触れあう中
自分がいかに疲れていたかという事を感じずにはいられなかった。
一ヶ月の休暇を終えた私は
ある決意をしヒロと久し振りに再会した。






「会社辞める事にした。明日、辞表出して荷物の整理を終えたら田舎に帰る。」


「何でだよ? 自分で決めて就職した会社だろ? 
楽な仕事なんてどこにもない、そんな事ぐらい辞めるなんて言ってたら
この先、何も務まらないだろ? そんな簡単に辞めるなんて言うなよっ!」



「私だって辞めたくない!! 頑張りたいよ!
でも食事も出来ないのに、この先、どうしたらいいのか分からない。
ずっと悩んで考えて、もう限界って事が分かったんだよ!」


「ゴメン、本当はこんな事、言いたいんじゃない。
 帰って欲しくない、ここに居て欲しいんだよ。」


「もう決めたから。」


「俺、彼女と別れる、家借りるから俺と一緒に暮らしてほしい。
焦らず、ゆっくり次の仕事を探せばいいよ、その間、俺、面倒見るから。
だから帰るなんて言わないでくれ、お願いだから、俺の傍に居て欲しい。」






            一緒に暮らして欲しい。




その言葉に心が揺れ動いた。

24:君は愛を知らない(6)

2016年09月14日 22:46

大好きな仕事、優しい上司、スタッフ、同僚。
誰もが優しく親切であった。
だが恵まれた環境ながらも競争率の激しい世界。
当時の給料は手取り七万。 
最高手取額十一万。
職業柄、年にニ回、展示会が開催され
展示会前の三ヶ月間は休み返上。
毎日、深夜一、二時まで残業。
みっちり三ヶ月間、仕事に追われる日々を過ごしながら残業手当なし。
自分では気付かなったが
抱えるストレスは並大抵なものではなかった。
やがてご飯が食べられくなっていった。
私の中から食欲という欲求が忽然と消えたのだ。



ランチに誘われても断り
昼は会社のデスクで眠った。
そういう日々を過ごすうちに
毎日、顔を合わせている会社の人達が驚くほど
痩せ細っていった。



見かねた林チーフが食生活が悪いと体を壊すと言って
企画部の中の一人にしかすぎないのに私の為に
お弁当の宅配会社と提携を結び注文を取るようになった。
それだけじゃない。
同期社員の皆がランチに行くのをやめ
お世辞にも美味しいとは言えない
お弁当を私に合わせて注文するようになった。


私の事は気にしなくていいんだよ。と言う私に
こーちゃん、ご飯はね、皆で食べるからこそ美味しんだよ。
そんな事は気にしなくていいの。
康子が優しい言葉をかけくれた。
昼食時間、長テーブルを用意し皆でご飯を食べる。
それなのに体が受けつけない。
食べようと思うのに食べ物の匂いを感じると吐き気に襲われ
トイレで吐くようになっていった。
日に日に状況は悪化し
会社のビルが視界に入っただけで吐き気に襲われる。





   ――――――― こーちゃん、きっとね、疲れているだよ。
       仕事の事は心配しなくていいから。
       一ヶ月、休暇を支給するから田舎に帰ってリラックスしておいで。
       こーちゃんが元気になって戻って来るの待ってるからね。




林チーフが口にした言葉が
貴方はもう会社には必要ない。という言葉に聞こえた。

24:君は愛を知らない(5)

2016年09月14日 22:45



         -------  私達もう逢うのやめよう。





その日の夜

私の想いを綴った手紙をヒロに渡し別れを告げた。




ヒロは差し出した手紙に一度も目を通す事無く
目の前でビリビリに引き裂くと
畳の上に投げつけた。




「こんなもん読めるかよっ!!俺は絶対、こんなもん読まねーぞっ!!」




「一生懸命書いたのに破り捨てるなんて、あんまりだよっ!」




「別れるなんて言うからだろ?! 俺は絶対に別れない! 別れたくない!!」





「言っている事が、おかしいよ!
それなら今すぐ彼女を取るか、私を取るか選んでよっ!」




選んでほしくて言ったんじゃない。
終わりにしたかった。
だって彼が私を選べないというのを
私は分かっていたから。
答えを迫る私に対し何も言い返せなくなかったヒロは
泣きながら床に膝まづき土下座する
お願いだから別れないでほしい、って。
側に居てほしい、って。
大粒の涙をボロボロ零しながら
何度も畳の上に頭をこすりつけた。





この人は私の事を好きでもなんじゃない。
ただ繋ぎとめたいだけ。
それだけの為に涙を流している。
土下座し
泣きつづけるヒロを私は冷めた目で見ていた。






自分では気付かなっただけで

きっともっと前から

もっと早い時期から前兆はあったんだと思う。

この頃から

体調に異変が出始める。

24:君は愛をしらない(4)

2016年09月14日 22:44

彼女は俺が居なくちゃ生きてゆけない
一人じゃ何も出来ないタイプの人間。
それと同じで俺もとっても弱い人間なんだよ。
君が居なくなったら生きてゆけない。
でも君は違う。
別に俺が居なくなっても何とも思わないよね、
ヒロは頻繁にその言葉を口にしていた。



ヒロと一緒に居て
楽しいと感じる事もあったし
勿論、笑う事もあったが
何を言われても
聞かされても
私はいつも冷静で淡々としてて
何も求めようとしない。
そんな私の態度に寂しさを感じる
だからそういう言葉を口にする。
だがそれは
君は一人になっても大丈夫だよね!とも取れる。
要するに彼女は本命。
私は遊び相手という事だ。






彼を独占したい!
嫉妬で狂いそうになっても
おかしくない事なのに
マスオさんと一緒に居た時に感じた
胸の奥をギューッ、と締め付けられたり
彼の前を去った彼女の事を思って切なくなったり
心臓の鼓動を全身で感じるぐらい
胸が高鳴ったり。
そういう感情を抱く事がなかった。




彼女がヒロに対して抱く感情と
私のヒロに対する想いは全く違う。
きっと彼が居なくなっても
私は寂しいとは思わないだろう。
やはり私達は逢うべきではない。
この関係に幕を閉じる事にした。


24:君は愛をしらない(3)

2016年09月14日 22:44

彼の名前はヒロ。
彼が連絡をしてきた時
私の都合が良ければ逢う。
彼と逢えない日があっても
連絡がなくとも
あの夜、白いシャツの腕の中で感じた切なさを
私はヒロと過ごす中で感じる事は一度もなかった。








そんな関係を続ける中
彼に彼女がいる事を打ち明けられた。
突然の告白に正直驚いたものの
畳の上に寝そべり雑誌を手にしていた私は







    

     ヒロに彼女がいてもオカシクないよね、かっこいいし。



そう答えていた。
確かにヒロはかっこ良かった。
たまに顔を出す定食屋さんにヒロと二人で行った時も
彼氏すっごくカッコいい!!
仲良くしている店員さんにそう言われるぐらい
ヒロはハンサムな男だった。
だが私にとって彼の存在は
「彼女がいてもオカシクない」
それぐらいの存在でしかなかった。



それからというもの
彼女の雰囲気や服装、髪型、性格
その全てをヒロは嬉しそうに
私の前で口にするようになってゆく。



ウェ―ブがかった長い髪。
花柄やフリル付いたピンクハウスなどの
可愛らしい洋服が好きな彼女の服装は常にワンピース。
私はというと相変わらず化粧もせず
髪はベリーショート。
スカートなんてはいた事無い。
古着が大好きで気入った服ならば
穴があいている物まで金を出し身に付けていた。
好きなブランドはヒステリックグラマー。
常に男っぽい格好ばかりしている私と彼女は
容姿だけではなく
性格の面においても対照的な女であった。




24:君は愛を知らない(2)

2016年09月14日 22:43

天井に貼りめぐらされた鏡に映し出される
男の背中を眺めていた。
何の感情も沸いてこない。
あるものと言ったら
なにやっているんだろう、という虚しさだけだった。





出逢った場所まで送ってもらい
車を降りようとした時
また逢いたいと言われた。
逢う気などなかった。
一度寝た男になど何の興味もない。
こういう出会いを通じて2度逢った男は
マスオさんただ一人だけ。
だが結局は同じだ。
肉体関係を持ってから彼と逢う事はなくなってしまったのだから。





一度逢った人とは逢わない主義である事を伝えた。
何でと聞かれたので面倒臭いから、と答えると
じゃー、俺を二回目に逢った初めての男にして!と言い
車を降りようとしても
手を掴んで離してくれない。
兎に角
これまで出逢った男の中で一番しつこかった。
私のあまりにも素っ気ない態度に
このチャンスを逃したら
二度と逢う事はないと思ったのだろう。
男は次の約束の日時まで決めると
ようやく車を降りる事ができた。




2度目が最後と思っていたが
初めて出逢った時と同じように押し切られ
失ってしまったジグソーパズルのピースを埋めるかのように
私は彼の存在を心の隙間に埋めた。
ドライブや食事
お弁当を持って公園に行ったり
動物園や観光地に足を運ぶ事もあった。
世間一般的に言うなれば
彼氏と彼女という関係に見えるのだろうが
私達の関係は一線を引いたものであった。
彼の事は何一つとして知らなかったのである。

それと同じように
彼も私の事を何も知らなかった。



24:君は愛を知らない(1)

2016年09月14日 00:42

彼は私の事なんか好きじゃなかった。
私のような女を好きになるはずなんかない。
私だって遊びだった。
何ともない、いつもの事。
どうせすぐに忘れる。





 

         何やっているんだろう。




         もうこんな事やめよう。




            やめたい。






そう思うのにやめられない。
何がそうさせるのか自分でも分からない。
やめようと思うのに
やめられない。
やめられなかった。
寂しくて、、また誰かと過ごす日を過ごした。








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