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1:故郷(8)

2015年08月04日 01:02


涙も枯れは果て
声を出す気力さえも失っていた。
そんな私の肉体を支えていたのはものといえば
皮肉なもので柱と紐。



夏は最悪だった。
日が長いし
汗と涙で全身がべたつくうえ
喉が渇いても水分も口にできない。
冬が近づくと嬉しかった。
日が短くなる分
縛られている時間が短くなるから。




誰もが夜明けを待つというのに私は違った。
ギラギラ輝く太陽が
この世の頂点に達する時から
夜が訪れるまで
何時間もの間、縛られ放置されていた。
白い紐の呪縛から解放されるのは夜。
そこがゴール地点であった。



柱に寄り添いうなだれる私は
日が沈み
夜が訪れるのを待ち続けた。


高台にある家の縁側からは
灰色の瓦屋根がたくさん見えた。
そこから見える夕日は
とてもとても大きくて
不思議とそこから見える夕日が大好きだった。



何故なら
この一連の出来事に
終止符が打たれる事を
夕日が私に伝えてくれたから。


灰色の瓦屋根に
だいだい色の夕日が
滲むように吸い込まれてゆくのを



          ---------- もう終わる、もうすぐ終わる・・・


そう思いながら
黙って眺めていた。




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