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1:故郷(9)

2015年08月03日 09:49

日が沈み
部屋の明りを灯す時間帯になると
必ず解放してくれた母。



ある日
ふと疑問に思った。
何でなんだろうって。



それはおぼろげな記憶。
室内を灯す明かりに眩しさを感じる程
辺りは暗くなっていた。
その明りが灯す和室の中心には
茶色の大きなテーブルが置かれてて
泣き疲れ憔悴しきった私は
テーブルに皿を並べている母の姿を眺めていた。



眩しさを感じるほど
明るかった部屋が一瞬にして暗くなった。
見上げた私が目にしたものは
大きな大きな黒い影。




その影は嬉しそうに笑っていた。
とてもとても
嬉しそうに笑っていた。
その隣にいる母も
とても幸せそうな顔をしながら
照れくさそうに笑っていた。



黒い大きな影。
それは
私の記憶に初めて登場した父の姿だった。
私が父の笑顔を目にしたのは
これが最初で最後。
父はいつも大声で喚き散し
怒り狂った表情ばかりしている人だった。



母が日が沈むと私を解放してくれた理由を
直感的に感じた。
父に知られたくなかったのだ。





狂ったかのように歯をむき出しにし
足裏に線香をおしあてる
あの鬼婆のような姿を
父に見られたくなかったのだ。




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