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1:故郷(12)

2015年08月07日 09:56

祝いに駆けつけた従弟の中に
一歳年下の詩織という女がいた。
クレヨンを手にした詩織が
玄関に絵を描いているのを私は見たのだ。





     ―――――― 私じゃない! 詩織が描いた!!




私は泣きながら真実を訴えた。
だが何の意味もなかった。
怒り狂った父の唇からは
汚い唾が飛び散り
激しい怒鳴り声に
耳鳴りのような鈍い音がした瞬間
一瞬、音が聞こえなくなった。



平手で頭を張り倒された私は
何度も謝れ、謝れ!!と叩かれ続けた。
だが私はやってない。
意地でも謝らなかった。




家には大勢の大人達がいるというのに
助けてくれる人間は一人もいなかった。
歯止めのきかない父は
私を何度も叩いた。
叩かれ罵倒される中悟った。
父は私が無実だという事を知っていると。




新築の家に絵を描かれ激怒した父。
だが母方の従弟である詩織に怒る事が出来ない父は
その腹いせに私を叩いた。
言わば私は見せしめだったのだ。



夜になり皆が豪勢な食事を口にする中
私は奥の狭い部屋で泣き続けた。
明りも灯らない真っ暗な部屋の中で声もあげず
ただシクシクと泣き続けた。
心配した母が呼びに来たが
それでも私は行かなかった。
意地でも行くもんかと思った。




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