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1:故郷(16)

2015年08月11日 10:33

明るくて親しみやすく友好的。
誰からも慕われる父の傍には
常に大勢の人間がいた。
情深く、人前で気前の良い人間であり続ける反動なのか
数分前まで豪快に笑い
楽しく酒を飲んでいたというのに
一旦、家の中に入ると
父は同じ人間とは思えない程、豹変した。





         ―――  あの子達も明日、学校なのよ。
     

               時間も遅いから寝てよ・・・



たった一言。
その一言が気に入らない父は布団から飛び起きると
ダンゴ虫のように畳の上にうずくまる
母の上に馬乗りになり
何度も何度も
何度も何度も
拳を振い上げ殴り続けた。



暗闇に見える黒い影
拳を振り上げる黒い影
無抵抗な母を
容赦なく殴り続ける黒い影
恐怖で怯え
その場から動く事ができない私は
泣き叫びながら
やめてと言う事しかできなかった。



俗にいうヤクザとつるみ
袖の裾から刺青がチラチラ見えるような連中が
毎晩、家に出入りし
酒に溺れる父の給料は
湯水の如く消えていった。



忘れもしない落書き事件で
無実を私を叩いた家の襖は穴だらけ。
その周囲には長袖の裾から
群青色の紋々が見える男達が屯している事もあり
白い障子に父が投げつけた醤油が
血糊のように飛び散って見えた。






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