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1:故郷(19)

2015年08月14日 11:09

食べてゆくので精一杯。
私服は近所のお姉さんから貰った
お下がりの赤と黒のボーダーシャツとジーパンだけ。
洗濯する時は着る服がないため
帰宅してからも制服かジャージを着て過ごすしかなかった。


そんな私は父の目から見ても
苛立ちを抱くほど
とてもみすぼらしかったのだろう。
全身から滲み出る
憎たらしい!という表情で
毎日、毎日、同じ服ばっかり着やがって!と怒鳴った。



何も言えなかった。
だって私にはどうする事もできないし
本当の事だったから。
だが働く術も収入を得る術もない
まだ子供だった私に
父はどうしろというのだろうか。
おどけて笑う事もできず
泣く事さえもできない。
どうしていいのか分からない私は
申し訳なさそうな悲しい表情で
黙って耐えるしかなかった。



そんな私達を不憫に思ったのだろう。
夏休み
親戚の叔父さんが洋服を贈ってくれた。
真っ白の綺麗な箱に入っていたのは
白とピンクのボーダー柄のワンピース。
みすぼらしい自分が
そのワンピースを着たら
お姫様に生まれ変われるような気がした。
もっと近くで見たかった。
触ってみたかった。



だが母は箱から出す事をせず
タンスの奥に閉まった。
どうしてもその服が着たかった私は
背伸びをし箱に手を伸ばす。





        ------    汚い手で触るんじゃないっ!!



伸ばした手を母に叩かれ泣いた。
泣いてせがむ私に対し
お前が着たら服が汚れる!
その言葉を吐き捨てると
私の手の届かない位置に箱を閉まい
叔父さんが妹に贈ってくれた
レースの付いた水色のワンピースを妹にだけ着させた。





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