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1:故郷(23)

2015年08月18日 16:17

詩織も嫌い! 
詩織の婆ちゃんも大嫌い!
あんな家なんて行きたくない!
私だって家に居たい。
妹は家にいるのに何で私だけ詩織の家に行かなきゃいけないの?
だが何も言えなかった私は
嫌で嫌でたまらない詩織の家へ毎週行かされた。



一度だけ
たった一度だけ
母に行きたくないと言った事がある。




         -------------   詩織には、お父さんも、お母さんもいない。
 

                     詩織はいつも独りぼっち。


                     可哀想なんだから行ってあげなさい。




四畳半の狭い部屋に一人で過ごす私。
襖一枚隔てた先には
父、母、妹の三人で川の字に就寝していた。
私だって独りぼっちだった。
お婆ちゃんが死んでから
ずっと独りぼっちだった。
私だって寂しい。
だがどこにも居場所がない。
ここにもない。
詩織の家にだってない。





「行きなさい。」



父の尖ったような
鋭く冷たい眼差しと声。


選択肢などなかった。
週末になると玄関に置かれた荷物。
その荷物を手にし
大嫌いな詩織の家へと毎週、向かった。
それは中学生になってからも続いた。






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