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2:姿なき心の犯罪(16)

2015年09月03日 23:10

だがどんなに強がっても
結局、私は一人では何も出来なかった。
この日は、秋の収穫祭。
春に植えた薩摩芋を収穫し
野外で給食と焼き芋を食べるというイベント。
皆がジャージに着替え、裏庭の畑へと向かってゆく中
私は賑やかに過ごす皆の姿を教室の二階の窓から眺めていた。
小さくなった皆の姿が
行列をつくり足並み揃えてせっせと歩く
小さな蟻ん子のように思え
そしてこの場からそんな蟻ん子達を眺めている自分が
更にちっぽけな人間に思えてきて
こんな事で泣いてばかりいる自分が情けなくなってくるのであった。




 
 



       ――― アイツどうした? 何でいないの?







きっとクラスの誰かが気付いてくれる。
先生だって気付くはず。
クラスの皆と一緒にいるぐらいないなら
独りぼっちの方がいい・・そう思うのに
心の片隅では自分の存在を気付いてほしいと思う私がいる。





     ガラガラ・・・



教室のドアが開き



  ――― どうしたんだ? 心配したじゃないか? 皆待ってるぞ! 早く来なさい!



振り向くと先生が立っている。


その様を何度も脳裏に描きながら私は待っていた。
本当は行きたい。
どんな汚い言葉で罵られても
それでもその空間の一員でいたいと思う私がいる。
でも今更行けない。
だって誰も私が居ない事すら気付いてないのに
今更どんな顔をして行けばいんだろう。



一限目が終わり、二限目も終わった。
三限、四限目のベルが鳴り
気が付くと給食の時間になった。
教室の隅っこに置かれた席。
その机に頬杖をしながら
裏山へ登ってゆく同級生や下級生の姿を眺めていた。
結局、私は誰からも気付いてもらえなかった。





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