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8:渦潮(25)

2015年12月01日 18:18

私は公園にいた。
どこでもいい、どこかに行きたい。
あの家から出たい。
好きなように生きたい。
だがどうしていいのか分からなかった。
結局、私はどこにも行く場所がない。
日が暮れ始め、次第に薄暗くなってゆく。



公園で遊んでいる子供達を迎えに来る母親。
手を取り合い
仲睦まじく自宅へ向かう親子の姿を見つめながら
このまま私が消えてしまったら
お母さんは、お父さんはどう思うかな・・?
きっと誰も心配もしないし
誰も哀しまないだろうな。
そんな事を思っていたら涙が零れてきた。



どこかへ行きたいと思っても
どこにも行く場所がない。
誰も信じないと思うのに
誰かに必要とされたいと思う私がいる。
堪え切れなくて涙が零れ落ちた。



蛇口をひねり
流れる水を見つめながら
掌にすくいあげる。
冷たい水の温度に目が覚めるような気がした。
泣いている姿なんて誰にも見られたくない・・
何度も、何度も顔を洗っていた時だった
誰かに背中を叩かれた。






    ――― どうしたの? 何かあったの?




振り返ると茜が立っていた。


茜は舞の取り巻きだった一人。
私の顔に唾を吐いた女だった。


昔の出来事が蘇り、一瞬、強張ったが
帰りたくないという私に
家には帰った方がいい。
そんなに嫌なら一緒に家まで付いていってあげると言ってくれた。
この日をきっかけに彼女と過ごす事が多くなっていった。




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