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9:鱗雲(1)

2015年12月05日 18:42

その日も
私は学校の屋上で過ごしていた。
地べたに大の字に寝そべってみる。
太陽の温度で温かくなった粒子交りのセメント。
私の体を過ぎ去る秋風がとても心地良くて
このまま眠りたい、なんて思いながら
青空に浮かぶ白い鱗雲を眺めていた。



    ――― おう! どうした?




慌てて飛び起きると副担任の清水先生が立っている。




「どうした? その髪は? 何か嫌な事でもあったんだろ。
先生が聞いてやるから何でも話してみろ。」


「あぁ、茶色の髪の毛が好きだから、色を抜いただけです。」


前髪を指で掴み太陽の光にかざした。
小金色に反射する自分の髪の毛を見つめながら
何て綺麗な色なんだろう・・そう思った。



「そうか、そうかぁ、先生の髪を見てみろ!茶色だろ。 
俺が学生の頃は、先輩から髪の毛を染めやがって生意気な奴だ!って
拳骨で頭を叩かれたもんだったよ。 俺は黒い髪の毛の子が羨ましくてなぁ。」



確かに清水先生の髪の毛は
女性を連想させる綺麗な髪の毛だった。




「お前、高校に行くんだろ? こんなところで立ち止まってないで頑張れよ! 前に進め。」


「私、高校にも進学する気ありません・・」


「高校行かなくってどうするんだ? 何かやりたい事があるのか?」


「自分の好きなように生きてゆきます。」


「所詮な、親の脛かじりだぞ。 それでいいのか? 
何もやりたい事がないのに、これから先、どうやって生きてゆく?」



何も答えられなかった。
先生の言う通りだったから。
家を出たい、自由に生きたいって思っても
十四歳の私に一体何ができるのだろう。
やりたい事もない、目標も、夢も、希望もない。
だけど自分の好きなように生きてゆきたい。
何もかもが矛盾している。
先生や親に反発し
周囲の人間を苦しめる事だけ考えるようになり
私は自分の為に生きるという事を完全に見失ってしまっていた。





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