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9:鱗雲(2)

2015年12月06日 10:38

「先生はな、ずっと学校の先生になりたいって思ってた。
だが家が貧乏でな、俺を大学に行かせる金が家になかったんだ。
親を恨んだよ、もっとお金持ちの家に生まれていたら何不自由なく大学にも行けるのに、って
そんな時にな恩師に言われたんだ。




     自分に言い訳をするな、親や環境のせいにするな!




     悔しいと思うなら




     その悔しさをバネして見返してやるぐらいの人間になれ!




     それから文句を言え!




先生は親に頼らず自分の金で大学にも行った。
金がないからバキュームカーのタンク掃除のバイトを始めてな、必死で働いたよ。
だけどあれは本当に臭くてな、

風呂に入っても一週間ぐらい匂いが取れないんだよ。
その度に、皆から臭い、近寄るな!って馬鹿にされ笑われたもんだ。
だけどな、その度に恩師の言葉を想い出して
俺はお前達は違う!と言い聞かせて必死に学費を稼いだ。
まぁ、色々やったな。
まぁ、どんな仕事でも大変な仕事は給料がいいからなぁ。
でもな、あの頃があって今の先生がいるんだ。
今の自分で満足なのか? 悔しいと思わないのか?

見返してやれよ!見返すんだ!
お前が悔しいと思って涙を流しただろう、そいつ等を見返してやれ! 」





「だけど・・何からしたらいいのか分かりません・・」




「あるだろう。 簡単な事だ。」




「・・・それが分かりません・・・」




「まず髪を黒くしろ、
それからどんなに嫌でも、自分の為だと思って辛抱して授業は必ず受けろ。
後、お前は数学が全然出来ないな、もうちょっと頑張らないとダメだぞ。 
いいかぁ? 分からないところがあったら俺のところに聞きに来い! 
数学でも英語でも、何でも教えてやるから
俺には遠慮なんかするな。
分かったか? 先生じゃなくて一人の人間としてとの約束だぞ。 
明日、八時に校門の前で待っているから、ちゃんと学校へ来い。
まずは高校へ行ってやりたい事を見つけろ! それからだ。 」




清水先生は屋上を後にした。
今まで私の出逢った人達は
私の事をダメな奴だ!と否定した。
誰も頑張れ!なんて言葉をかけてくれる人はいなかった。
清水先生が口にした
見返してやれ!という言葉が私の心の中から消えなかった。



その日の午後
誰かに強制されたのではなく
私自身の意思で髪の毛を黒く染めると
翌日、先生が待つ校門へと向かった。






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