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13:13階段(16)

2016年01月27日 22:49

翌日の午前中、私は産婦人科にいた。
糊のはりついた硬いガウンを
看護婦さんが手渡す。


薄いカーテンの先にあるのは手術室。
一枚の布で隔たれた空間。
私が一歩足を前に踏み出す事により
小さな命が消される。
命が絶たれる。
私の手により、私の意思によって殺,,,される。
抹消されるのだ。




脳裏に浮かび上がるのは
このままここを駆け出して必死に逃げる私の姿。
怖くて、不安で、赤ちゃんに申し訳なくて
込み上げる感情を抑える事が出来なかった。
私の涙は大きな雨水の様に
ボタボタ・・と悲しい音を立てながら床に落ちていった。
必死に堪えようとするがダメだった。
私は自分の掌で力強く口を塞ぎながら
口から漏れる嗚咽を必死に堪えながら
このまま呼吸が止まればいいと思った。
このまま息が出来なくなって死ねたらいいのに、って。




世の中の人間はここで笑っている。
子供を宿した事に
母親になれるという資格を与えられた事に。
だけど私は違う。
ここで生むのでなく、殺.,.,そうとしているのだ。
自分が生きてゆく為に
ただそれだけのために
何の罪もない命を踏み潰し無かったものにしようとしている。

苦しい・・・

苦しい・・・・・

だけど一番苦しいのは私ではない。

私は声をあげ泣いた。
大声をあげ泣き崩れた。
一度、出した声は止まらなかった。





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