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18:この世の果て(10)

2016年05月13日 22:11


中途半端だと助かってしまう。
それだけは絶対に嫌だ。 
全部、飲まなきゃ
全部飲まなければ死ぬ事すら許されない。



胃から何度も込み上げる嗚咽と闘いながら
洗面台に零れた落ちた錠剤を
拾い集めては口に含んだ。
私は必死に薬を飲み込みつづけた。
縋る思いだった。
助かる事が恐ろしかった。
これから先も生きていかなければならないのかと思うと怖かった。
何としてでも死にたかったのだ。


錠剤を無理やり口の中に押し込んでは水を含む。
もはや水さえも口に含む事が不快に感じるようになり
しまいには水も体が拒絶するようになった。
心は死と向き合い
死を望んでいるのに
生身の私の体が全てを拒否した。
何度も、何度も、嘔吐しては
溶けてゆく錠剤を拾い自分の体内へと入れた。





         これで楽になれるはず。





死に対する恐怖というものは一切なかった。
むしろこれで終止符が打たれる事に安堵感すらあった。
バックの中に手を入れ
破られた小さな紙を取り出すと私は左手に力強く握りしめた。
それは生まれて初めて書いた遺書だった。





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