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18:この世の果て(17)

2016年05月14日 22:00

小さな紙切れの遺書は
左手の中に握りしめられたままだった。
保健の先生に見せて欲しい、と頼まれたが
私は首を横に振り、頑なに拒んだ。
自分の心の奥底まで踏み込まれそうな気がして怖かったのだ。




その後の記憶も断片的でしかなく
途切れ途切れである。
突然、何も知らない別世界へ
いきなり投げだされたようだった。





私の意識が戻った時、
私の肉体は自宅にあった。
その隣には保健の先生が居て
目の前に座っていた母は既に全てを知っていた。
そこに至るまでの記憶は全くない。




ただ目の前に
突然、現れた母の瞳には
今にも零れ落ちそうな程、涙が溢れており
涙を必死に堪える母の姿を目にした瞬間
初めて自分の行いを悔い、我を忘れるほど私は大声をあげ泣いた。
溢れ出る涙と止まらない嗚咽の中、母が口を開く。






   ----------  お父さんが、出張で良かった・・  
  
 
        お父さんに知られたら大変な事になってた・・・





この場に及んでも、また父か。
私の起こしたトラブルで、父から受けるであろう暴力に怯える母。
そこには、娘の事を心配する事よりも
自分の身の安全を優先させ安堵する母の姿があった。
母のその言葉を最後に、その後の記憶がまた途絶えた。






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