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8:渦潮(11)

2015年11月17日 02:06


地域でのイベントや行事があると
真っ先に母の名があがるほど
母はとても料理上手な人だった。
そんな母も父の暴力に耐えかね
酒に溺れるようになり
いつしか全く料理を作らなくなった。




朝食はインスタントラーメン
夜は白いトレイに茶色の油が浮いた唐揚げ、海老フライ
サラダのお惣菜。
馬鹿の一つ覚えのようにそのメニューが毎日続く。



一升瓶を抱え朝まで呑み明かす日々。
居間には一升瓶が何本も転がっていて
吐き気をもよおすほど
狭苦しい家の中は酒の匂いが充満
二人は一日も欠かす事無く
酒を呑み続けていた。


酒を買う金はあっても
他人の子である私の体操着を買う金はない。
三年になり体操着のデザインが変わった。
申し込み用紙に目を通した母が言う。



    ――― 、後一年って時に、本当、困るっ!
         体操着買わないのは、アンタだけじゃないんでしょう?
         



妹は何でも揃えてもらえるのに
何で私は買ってもらえないの?
あぁ、私、この家の子供じゃなかったんだ。
私はいつもそうやって自分に言い聞かせ諦めてきた。
そうすれば腹も立たない。
だってどんなに歯痒く思っても
どうにもならない事は分かっている。



古い体操服を着ている私の姿を目にしては
馬鹿にして笑う男子生徒
体育の授業が苦痛でならなかった。






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