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8:渦潮(13)

2015年11月19日 03:14

母の義務を捨てた女。
家の中はゴミ屋敷。
埃まみれで、山積みになった衣服が積まれている。
茶碗は何日も放ったらかし
流しに置かれた白い食器も
やがて腐敗した黄緑色のぬめりが覆い
積み上げられた食器は
崩れ落ちるジェンガのようだった。



あまりの臭さに生唾が何度もこみあげる。
ウエッ・・ウエッ・・ 
吐きそうになりながら、何時間もかけて私は洗った。
だが何の意味もなかった。
家には毎日、大勢の輩が共が群れをなし
どんちゃん騒ぎ。
翌朝には一升瓶と大量の食器が居間を占めた。




私は母が洗うまで待った。
少しでもいいから母親らしい姿を見せて欲しかったから
だが何日経っても
母が食器を洗う姿を目にする事はなかった。




家の掃除はしなくても
自分の化粧には事欠かない。
父のいない昼には、男の車が堂々と迎えに来る。



     ――― お母さんいる?




平然とした顔で語りかける男。
あぁ、そういう事か。
哀しいとか、裏切られたとか、そういう感情が一切なかった。
むしろ母に同情すらした。
父のような血も涙もないような人間といるよりも
まだ目の前にいる男といる事の方が
幸せになるのではないかと思ったからだ。





     ――― お母さん、迎え来ているよ。




     ――― あぁ、ちょっと気晴らしにドライブ行ってくるからね。





飲んだくれた時には
物凄い目で睨みつけるくせに
こんな時は目も合わそうともしない。
まるで逃げるように、そそくさと家を飛び出していった。






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