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21:影踏み(7)

2016年07月12日 12:45

薫と知り合って間もない頃であった
突然、実家へ連れて行かれたのである。
知らない家。
とても怖くなったのを覚えている。
戸惑い立ち止まっている私の腕を掴み
半ば強引に引っ張ると
抵抗する私に大丈夫だからと言って
無理やり居間へ連れて行く
そこには真っ昼間から一升瓶を抱え湯呑茶碗で酒を飲む
年老いた父の姿があった。





学生の頃、警察官を目指していた薫
親の身元調査の際、父親に前科があるという事で消防職員になった。
そんな薫には、酒に溺れ母を殴る父を止めに入った際
割れた一升瓶で太ももを刺され大きな縫い傷があった。
そう薫も同じ。
暴力で支配された家庭で育ってきた人間であった。





真っ昼間だというのに酒を食らい
焦点の定まらない威圧的な目で見つめる薫の父を目にし
同情どころかこう思った。
こんなクソみたいな親に育てられるから
お前は根性までも腐りきっているんだって。
お前のようなろくでもない人間に育つんだって。
私は薫の父を見て心の底からそう思った。





「何モタモタしてんだよ! お前を親父に紹介してやってんだぞ!
突っ立ってないで早く、ここに正座して俺の親父に挨拶しろよ!」



混乱し立ち尽くす私の腕を引っ張る薫は
私の体を押さえる付けると畳の上に正座をさせた。




   ----------  こいつ俺の彼女、今、高校生なんだけど

           こいつが高校卒業したら 結婚するから。

           早い方がいいと思って挨拶に連れて来た。





薫の口から次々と出てくる言葉。
とにかく私が知らぬ間に
話を先にすすめようという意思が力強く感じられ
このまま、ぼんやりしていている間に
この男から一生逃げられなくなるのではないかと恐ろしくなった。





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