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21:影踏み(9)

2016年07月14日 01:45

記憶がないといったら
都合のよい事なのかも知れない。
だが全く想像すらできなかった出来事に襲われた私は
頭の中が真っ白になり
そこから先、母と何を話したのか記憶がない。





          知らない男





それが誰なのか名前を聞かずとも直感で分かる。
アイツの名が真っ先に浮かんだ。
アイツだ。
そのアイツとは薫であった。





薫が母に何を話したのか
二人がどのような会話をしたのか私は知らない。
聞く事が出来なかった。
知るのが怖かったのだ。
迫りくる恐怖に怯え涙が込み上げてきた。
やっと手にした幸せを根こそぎ奪い取られるような気がして
パニックになっていた私は
受話器をおろした後
その場を離れる事はなく
寮の電話の前に立ちつくしていた事を覚えている。





興奮、怒り、苛立ち、憎しみ、嘆き。
色んな感情が入り乱れる中
この時を待ち望んでいたかのようにベルが鳴り響く。
相手は勿論、薫である。
言いたい事は山ほどあり
次々と頭の中を駆け巡ってゆく。
それなのに涙が込み上げ思う様に言葉を発する事が出来ない。





      何で実家に電話をしたの?


 

      何で私に付きまとうの?





受話器を握りしめながら訴える私に対し
薫の口から信じられない言葉が発せられた。







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