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23:涙のジョージ(17)

2016年07月18日 19:39

出会った場所に彼の車が止まった瞬間
胸の奥底を締め付けるような痛みを感じた。
苦しい。
そして哀しい。
それなのに私は哀しいなんて素振りを微塵も見せる事無く
バイバイ。という短い言葉で別れを告げた。




         

    ------ もう逢えないよ、小雪ちゃんはそれでいいの?





冷たい口調で発せられた言葉。
もう逢えないよ。という言葉は彼の意思であり主張にも思えるが
どこか私を繋ぎとめる言葉にも感じ取れた。



「それでいいの?」その言葉は卑怯だよ。
私は何て言えばいいの?
貴方はどうなの? 
私達はいつも互いの心内を探る事しかしない。
傷付く事を恐れ本心を口に出す勇気がない。
煮え切らない態度と言葉
そして本当の気持ちを伝える事が出来ない自分自身に
互いに苛立っていたのだ。



「いいよ。 別に。」


「本当にいいんだね?!」


念を押すような冷たい言葉であった。
どうすれば、こんなに冷たくなれるんだろう。
あんなに優しかったのに・・・



「だってマスオさんが言ったでしょ? もう逢わないって!
私達は寂しい者同士ただのお遊びだったんだよ。
今までありがとう、楽しかったよ、元気でね。」


「分かったよッ! じゃー元気で。」



こんな風に終わりたくなかった。
笑顔で終わりたかったのに・・
喧嘩腰になった私達は
互いの想いを伝える事無く別れたのであった。

23:涙のジョージ(16)

2016年07月18日 16:01

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23:涙のジョージ(15)

2016年07月18日 15:41

いつも優しくて、穏やかな彼の姿はそこになく。
欲情した彼の一つ一つの仕草は
とても男らしくもあり、力強く、本能そのものであった。
互いの身体に絡まり激しく求めあい
彼という存在が私の心臓を貫く度に哀しみに襲われる。
散々、求め続けたものが
本当の意味で私自身が望んだものではない事ぐらい
私が一番分かっている。




大事に思ってる。



それで十分だったのだ。
それなのに私は失う事を恐れ
自ら破戒しようとする。
そうして自分を傷つける事で納得させる。
そういう風にしか私は自分を表現する事が出来ない。



子宮の奥底が熱くなり何度もうずいた。
それは誰かを想い
切なくなった時に感じるもの。


           

          

          
            好きだったんだ。
          



          彼の事を好きだったんだ。





          それを認めるのが怖かった。
          



            怖かっただけ。





            気付いて欲しい。




             私の気持ちに。




             やめて欲しい。



          他の男と同じにならないで。





だが目の前にいる彼の表情は、まるで別人のようであった。
なんだ、彼もただの男か。
そう思ったら
また身体の底が熱くなり哀しみに襲われ
全身が熱くなり涙が込み上げてきた。


23:涙のジョージ(14)

2016年07月18日 15:40

ベットに押し倒し
柔らかく
温かい彼の耳たぶに私の唇が触れた。




       ―――  寂しいから抱いてほしい・・




       ―――  本当にもう逢わないよ。 
          今日が最後になるよ。 それでもいいの?
           俺、理性失うよ。





今日が最後。
彼の言葉に胸が締め付けられた。





       ―――  いいよ、今日が最後で。






彼女を忘れる為に女と過ごしてきた彼。
私はその中の一人、遊び相手にしか過ぎない。
それと同じように私にとっても彼も今までの男達と同じなんだ。
なんて事はない。
一度目にヤッタか
時間を置いてヤッタかの違いだけなんだから・・・



私は何も分かってなかった。
たくさんの事を
彼には教えてもらったのに
大切な事を彼はたくさん教えてくれたのに
私は何も分かってなかった。




23:涙のジョージ(13)

2016年07月18日 15:39

「私じゃダメなの?」



「そうじゃない、俺だって男だから迷う気持ちだってあるよ。」



「だったらいいじゃん!」



「前にも言ったよね、遊びの女とは二度と逢わないって。
心があるセ,,ックスじゃなきゃ出来ないって。」



遊びの女とは二度と逢わない。
彼の言う遊びの女が
私を示しているように感じて
この関係に終止符が打たれる気配を感じた。




「心がなくたってセッ,.,クスは出来るし、逢いたくないならそれでいいじゃん。」 



「大事に思っているから出来ない!」



彼と居ると哀しくなる。
彼と過ごすと寂しが増すばかり。
これ以上、苦しみたくない。
遊びの関係なったら終わり。
それで楽になれるのならいい、そっちの方がいい。
もう逢わない方がいい。
歯がゆくて
歯がゆくて
どうしたらいいのか分からなかった。



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23:涙のジョージ(12)

2016年07月18日 15:22

彼が幾度となく口にした
大事に思っているという曖昧な表現ではなく
もっと違う言葉を求めていた。
だが私が求めるものは手に入らない。
彼の元を去った彼女には敵わないのだ。






ベットから飛び起きると
彼の体に馬乗りになり耳に舌を這わせ囁いた。





       ―――  お願い、私を抱いて。 
 




そんな私に対し彼は尚も告げる。
この関係を
これから先もずっと大事にしていきたいと思っている、と。




この関係って何なのだろう。
他の女は抱けるのに何故、私は抱けないのだろう。
私じゃダメって事?
ただの暇つぶし?
今まで感じた寂しさとは違う。
今までの私は一人でいる事に寂しさを感じた。
だが今は違う。
彼といる事により私の寂しさが増してゆくのだ。





その後も彼と一緒に過ごした。

ほぼ毎日逢ってホテルへも行った。

白いシャツを着た彼の

優しくて温かい大きな腕の中で

子猫のように丸まって過ごす。

何度求めても

彼が私を抱く事はなかった。



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23:涙のジョージ(11)

2016年07月18日 15:03

「寂しいから、抱いて欲しい。」


「まだまだ甘ちゃんだねぇ、
セック,.,スよりもね、世の中には大事なモノがあるんだよ。」 


「何があるの?」


「心だよ、心。
前にも話したよね、遊びならいくらだって寝れる。
だけど心がない相手とセック,.,スはね、本当のセ,,,ックスじゃないんだよ。」






           心






心って何だろう。
心って何?
そういう経験をした事がなかったから
その心が私には分からない。
その心がない相手とは私の事なのか。
だから彼は私を抱かない。
まだ好きなんだ・・・
彼女の事を忘れられず
その寂しさから逃れる為、都合が良い私と一緒にいる。





「じゃー、丁度いいじゃん。」


「俺はね、小雪ちゃんの事、大事に思ってるから。
この関係を壊すような事したくないんだよ。」



この関係って何?
そんなのただの綺麗ごとじゃない。 
私の心の中は
彼に女として見られていない事を哀しいと感じる気持ちがあった。

23:涙のジョージ(10)

2016年07月18日 15:00

彼に差し出された腕に身を委ね子猫のように丸まった。
白いシャツを伝い
彼の体温を感じる。
それは人の生身の温かさ。






どくん。





どくん。





どくん。






彼の高鳴る心臓の鼓動が伝わってくる。
緊張の中に感じたもの。
それは胸をギュ―ッ、と締め付けられるような痛み。
生まれて初めて息苦しさにも似た痛みを味わった。




それは幸せではなく哀しみ。
彼が寂しさを感じているという事が
痛い程、伝わってきたから
その痛みを感じ取る度に
いつしか私は今までとは違う寂しさを感じていたのかも知れない。
だからこの微妙な関係が歯痒く感じるようになっていった。




彼に逢う事も。


彼が何も求めてこない事も。




目の前にある温かさを信じる心より
これから先
彼と一緒に居る事で傷付く事を恐れ
終わりにしたい、と思う様になっていった。




23:涙のジョージ(9)

2016年07月18日 14:54


「あれから他の男の人と逢ったりしてない?」


「逢ってないよ。」


「本当? 本当に逢ってない?」


逢えるわけない。
逢う暇なんてどこにもない。
いつも一緒にいるのに
どうやって他の男と逢えるの。
こんな子供じみたママごとに
一体、いつまで付き合わなきゃいけないのだろう。
私は他の男と遊びたい。
彼と出会ってからというもの
私の征服活動は全く出来なくなっていった。




そんな私の隣では



    ----------  俺達ってさ、友達以上、恋人未満だね。



私の手を握りしめ
微笑む彼の姿があった。
それはドラマとかでよく耳にするような言葉。
だけどその意味が私にはよく分からなかった。



恋人未満は、恋人にはなれない関係。
おそらく恋愛対象外だろう。
だが友達以上って何だろう。
肉体関係も持ってないのに
友達以上ってなんだろう。
意味が分からなかった。
そんな微妙な関係がしばらくの間、続いていた。


 


23:涙のジョージ(8)

2016年07月18日 14:51

別れ際、連絡先を聞かれたが
今のまま何も知らない方がいい。と答え
出会った時と同じように私は彼の前を去った。
彼女を忘れる為に女と夜を過ごしてきた彼。
あの出来事を忘れる為、男と過ごすようになった私。
寂しい者同士。
似た者同士だと感じたからこそ
もう逢わない方がいいと思ったのかも知れない。




だがそんな私の想いとは裏腹に
彼はあの場所で私を待つようになる。
逢わない方がいい、そう思うのに
待ってたよ。と微笑む彼の笑顔を目にすると断る事が出来ない。






         手、繋ごう、落ち着くから。





運転席から差し出された彼の手は
とても温かくて
大きな手だった。
無邪気な少女のような彼の手を握りしめる私の心は
一向に満たされる事がなかった。
ドライブを終えた後、あの場所へ送り届ける彼。
ホテルで過ごす事もあったが
何事もなく服を着たまま寄り添い朝を迎える。
そんな誠実な彼と過ごしながらも
私の頭の中は他の男の事でいっぱいだった。







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